高強度持久性運動トレーニングは心血管機能を改善することで知られるが,脳の構造や神経活動,さらにそれらを支える脳循環に対する影響は明らかにされてない.そこで本研究は若年の持久性アスリート15名と非運動実践者16名(セデンタリー群)を対象に,核磁気共鳴画像法(MRI)を用いて脳容積,大脳皮質厚,白質線維統合性,機能的結合性,および脳循環特性の評価を行った.その結果,アスリート群はセデンタリー群に比して,脳梁や放線冠,上前頭後頭束の白質線維統合性が有意に高いことが示された.また,デフォルトモードネットワーク内における後帯状皮質-右側前頭極間の機能的結合性がアスリート群で有意に高いことが示された.一方で,脳容積や大脳皮質厚,脳循環指標に有意な差がみられなかった.これらの結果から,若年期における高強度持久性運動トレーニングは,脳内の神経ネットワーク結合性を強化することが示唆された.