2022 年 42 巻 p. 78-84
重要な動作直前に左手でボールを反復把握すると右半球が賦活し,プレッシャー下でも「あがり」を防止できることが報告されている.本研究では,試合会場でも反復把握を可能とすべく,適切な把握材を同定し,それをスポーツウエアに実装することを目的とした.実験1 では3 種類の部材を左手で反復把握した後の安静時脳波を分析した.周波数分析では有意でなかったものの,発泡ポリエチレンフォームの左手把握後にα偏側性スコア(AAS)が最低値を示した.そこで実験2 では,テニスのセカンドサーブ課題を用いて発泡ポリエチレンフォームの把握効果を検証した.左手把握を行った群はプレッシャーテストで緊張を高めた一方で,セカンドサーブスコアは高値を示したが,統計的に有意でなかった.最後に実験で用いた把握材を実装したウエアを試作した.