運動と食品由来因子の併用は体脂肪蓄積抑制などの効果を高める可能性がある.これまでにアミノ酸の混合物 (アラニン,アルギニン,フェニルアラニンの混合物;AA-Mix) の摂取と運動の併用はヒトやマウスで体脂肪量を低下させるとの報告があるが,この機構は不明である.著者はマウスにトレッドミルでの運動負荷とAA-Mix (1 g/kg体重) の投与を4週間実施すると,AA-Mix投与のみ,あるいは運動負荷のみでは褐色脂肪細胞化は誘導されないが,併用することで有意な誘導が認められることを見出した.この機構解明のために,AA-Mixを単回投与後に一過性の運動負荷を行い,その後運動終了直後と終了1時間後のfibroblast growth factor 21 (FGF21) とiterleukin-6 (IL-6) の挙動を調べた.その結果,血漿FGF21濃度や肝臓および白色脂肪組織でのmRNAレベルには群間の差は認められなかったが,血漿 IL-6濃度は併用群で運動負荷単独群と比較して運動終了後1時間で有意な上昇が認められた.従ってマイオカインの一つであるIL-6が併用による褐色脂肪細胞化誘導に関与している可能性がある.以上により運動と食品由来因子としてAA-Mixの併用が褐色脂肪細胞化の誘導というユニークな効果を示すことを明らかできた.