本研究は電気抵抗が組織の温度に依存して変化するという電気的特性を応用し,腓腹筋の皮膚表面からの局所冷却に加え,膝窩部の大動脈を冷却した場合の冷却効果について多周波インピーダンスを用いて検討した.被験者は男子大学生10名を対象とした.インピーダンス測定時の電極配置は両検出(V)電極の間隔を15cmに設定し,末梢側の電流(I)電極はV電極から2cm,3cm及び4cmとした.測定条件は腓腹部のみ冷却条件及び腓腹部+膝窩部冷却条件とした.冷却中のインピーダンスと皮膚温の測定は5分毎に30分間行った.温度の推定は皮膚表面から2cm,3cm,4cm深部までの3種類とした.両条件とも時間の経過とともに温度の低下が確認された.また両条件とも皮膚表面から深部になるにつれ冷却温度の変化は小さかった.膝窩部の大動脈を冷却した場合には腓腹部のみ冷却条件よりも冷却効果が優れていることが明らかとなった.以上より局所冷却に加え,中枢側の大動脈の冷却を行うことで冷却力を高めることが窺えた.