2024 年 198 巻 S 号 p. S87-S96
急激なビジネスの環境変化に対応するには組織のプロセスを再構成する必要があり,プロセス・イノベーションは競争力の源泉とされている。しかしながら,経済的な価値が認識されつつも,プロセス・イノベーションはプロダクト・イノベーションに比べ注目度が低い現状にある。特に,サービス産業など,生産と消費の同時性が顕著に生じる場合には,プロセス・イノベーションとプロダクト・イノベーションとが密接に関連するため,プロセス・イノベーションへの取組は必須となる。本稿では,宿泊産業の事例を基に,サービス・プロセス・イノベーションをサービス・ケイパビリティの観点から捉え直す。顧客接点への技術導入について,産学の共同研究を通じて意図に則したサービス・プロセスの変革が実現された。サービス・プロセス・イノベーションには統合的な資本活用が必要であるとともに,産学の共同研究がその活用能力に貢献することが示唆された。