日本臨床スポーツ医学会誌
Online ISSN : 2758-3767
Print ISSN : 1346-4159
大学男子サッカー部における外傷・障害の発生状況 ―2021 シーズンの調査結果―
豊島 康直赤木 龍一郎鍋島 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 32 巻 1 号 p. 135-142

詳細
抄録

(目的)関東大学サッカー1 部リーグに所属するチームにおける2021 シーズンの外傷・障害発生状況について解析した.(対象)2021 シーズンのトップチームに在籍した選手44 名とした.(方法)選手ごとの活動時間と1 回以上の練習/試合から離脱を要した外傷・障害の発生件数を記録し,練習/試合における活動時間あたりの発生率を算出した.加えて,受傷部位,受傷タイプ,発生要因,重症度を年間と月別で調査した.(結果)年間の活動総計時間は13,543 時間であり,発生件数は40 件,発生率は2.3/1,000hours であった.発生率の月別推移では2 月が6.4/1,000hours で最多であり,試合中の発生率は6 月が41.3/1,000hours で最多だった.月別推移として2 月,6 月,9-10 月に発生件数および発生率が高値であり,その前月の活動総計時間が少なかった.受傷タイプは捻挫/靭帯損傷の発生件数が最も多く,筋損傷の発生件数は少なかった.(考察)発生率は諸外国のトップリーグと比較して,年間で低い傾向がみられた.一方,月別の発生率において活動総計時間の少ない状況からの活動時間の上昇は発生率を高める可能性が示唆された.受傷タイプは捻挫/靭帯損傷が先行研究と同様であったが,肉離れを含む筋損傷の発生件数は少なかった.受傷タイプはCOVID-19 の影響を受けていないものと推測された.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人日本臨床スポーツ医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top