2013 年 44 巻 p. 197-205
高エネルギー放射光蛍光X線分析(HE-SR-XRF)を利用して,古代土器の産地推定への応用研究をおこなった.本研究では,116 keVの高エネルギーX線を利用してRb, Sr, Zr, Cs, Ba, REE, Hf, Ta, W, Th, Uの25元素の濃度を定量した.得られた定量値を用いて主成分分析をおこない,トルコ共和国の中央アナトリアに位置する3つの遺跡(カマン・カレホユック遺跡,ボアズキョイ遺跡,ビュクリュカレ遺跡)で出土した土器試料の特性化をおこなった.また,同様にHE-SR-XRFで測定したカマン・カレホユック遺跡出土の土器試料と周辺の堆積物の定量値を用いて判別分析をおこなった.その結果,土器の産地をこれまで以上に絞り込むことが可能となった.