X線分析の進歩
Online ISSN : 2758-3651
Print ISSN : 0911-7806
原著論文
炭素系試料の全電子収量CK端XANESにおけるπ**ピーク強度比の考察:sp2炭素とsp3炭素からなる粒子混合系と分子系の比較
村松 康司Eric M. Gullikson
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2012 年 43 巻 p. 425-436

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抄録

典型的なsp2炭素化合物(グラファイト,多層カーボンナノチューブ,カーボンブラック)粉末とsp3炭素化合物(ダイヤモンド,ポリエチレン)粉末の粒子混合系と,様々な有機分子系におけるsp2炭素とsp3炭素の全電子収量(TEY)比をCK端のX線吸収端構造(XANES)から解析した.その結果,粒子混合系では,ダイヤモンドよりもポリエチレンの方がTEYが高く,sp2炭素も化合物間でTEYに有意な差があることを確認できた.分子系では,脂肪族化合物,ナフタセン誘導体,芳香族化合物のπ**ピーク高比をsp2炭素原子比に対してプロットすると原点近くを通る正の相関を示した.したがって,分子内に存在するsp2炭素とsp3炭素のTEY比はほぼ等しいことがわかった.

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© 2012 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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