2012 年 43 巻 p. 249-266
ランタン(Z=57)近傍の7元素,I, Cs, Ba, La, Ce, Pr, Ndの化合物について,Lγ2,3スペクトルとLγ4スペクトルを1結晶・波長分散型分光器で測定した.Lγ2,3スペクトルは,低エネルギー側に約50 eVの裾をひく非対称な構造を示した.I以外では,Lγ2ピークがはっきりと識別され,Lγ2ピークの低エネルギー側に(超)コスター・クロニッヒ遷移に起因するサテライトピークが現れた.Lγ2ピークのLγ3ピークに対する相対強度は顕著な原子番号依存性を示さず,原子に対する理論値とおよそ一致した.統計精度に難はあるが,化合物のLγ4スペクトルを実験室でも測定できることを確認した.他元素とやや異なる性質を示したIとCeのLγ2,3,Lγ4スペクトルについて,多体効果の影響を議論した.