X線分析の進歩
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Print ISSN : 0911-7806
原著論文
蛍光X線分析法による鉱石及び土壌の化学分析
丸茂 克美小野木 有佳野々口 稔
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2012 年 43 巻 p. 181-200

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抄録

エネルギー分散型蛍光X線分析装置にX線CCDカメラを装着した蛍光X線透視分析装置を用いて,鉱物の粒子径が鉱石や土壌の蛍光X線分析値に与える影響を評価した.

石英,硬石膏,黄鉄鉱,黄銅鉱,閃亜鉛鉱,重晶石,方鉛鉱はそれぞれ1.48 mm以下,1 mm以下,0.39 mm以下,0.21 mm以下,0.20 mm以下,0.21 mm以下,0.30 mm以下,0.10 mm以下の粒子径の場合にはX線管球電圧が50 kV以下でX線が透過するものの,粒子径がそれぞれ2.35 mm以上,2 mm以上,0.39 mm以上,0.46 mm以上,0.32 mm以上,0.47 mm以上,0.21 mm以上の場合にはX線管球電圧が50 kVではX線が透過できない.

蛍光X線分析の精度に対する鉱物粒子径の影響を把握するには,鉱物粒子のX線透視像が消滅するときのX線管球電圧(X線透視像消滅電圧)を測定することが有効である.X線透視像消滅電圧は鉱物粒子径が大きいほど,また鉱物の比重が大きいほど高い電圧となる.X線透視像消滅電圧の測定は鉛汚染土壌などの分析でも必要である.

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© 2012 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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