X線分析の進歩
Online ISSN : 2758-3651
Print ISSN : 0911-7806
原著論文
NEXAFS法を用いたスパッタリングc-BN薄膜の評価
新部 正人小高 拓也堀 聡子井上 尚三
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2012 年 43 巻 p. 153-160

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抄録

マグネトロンスパッタ法で作製した窒化ホウ素(BN)薄膜の結晶構造を調べるため,B-KおよびN-K吸収端近傍微細構造(NEXAFS)を計測した.その結果,基板温度を600℃程度に上げて,かつ負のバイアス電圧を80 V以上印加した場合のみ,立方晶窒化ホウ素(c-BN)が安定して形成できることが分かった.また,表面敏感な全電子収量(TEY)法とバルク敏感な全蛍光収量(TFY)法のデータを比較することにより,表面にc-BN相の膜が形成される場合にも,内部ではh-BN相の割合が比較的高いことが分かった.これまで報告されたBN薄膜のNEXAFSデータの多くは,h-BN相ベースの薄膜のものであった.今回報告するBN薄膜では,c-BN粉末の標準試料に近いスペクトルが得られており,c-BN相薄膜を形成するためのデータベースとして有効に活用できるものと考える.

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© 2012 公益社団法人日本分析化学会 X線分析研究懇談会
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