日本国際看護学会誌
Online ISSN : 2434-1452
Print ISSN : 2434-1444
ラオス人民民主共和国における家族が行う看護ケアと看護師の役割
齋藤 恵子 李 孟蓉辻村 弘美森 淑江
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 1 巻 1 号 p. 13-24

詳細
抄録

目的:我々は国際看護協力のあり方を検討するため、ラオス人民民主共和国(以下、ラオス)において、家族と看護師のそれぞれがどのような看護ケアを分担しているのか、看護師経験年数による違いはあるのかについて、明らかにする。
方法:2014 年5 月ラオスA 病院看護師100 名を対象に「看護実践における技術的側面〔看護技術〕」(厚生労働省2004)の看護技術全13 の大項目と69 の小項目を参考に質問紙を作成し、家族または看護師のいずれかが分担している項目について自記式質問紙調査を行った。
結果:60 名から回答を得た(有効回答率60.0%)結果、家族が行う看護ケアと回答した項目は自然排尿・排便援助、食生活支援、入浴介助、寝衣交換等の衣生活支援、整容、清拭の割合が高かった。看護師が行う看護ケアと回答した項目は診療の補助に関する項目の割合が高かった。50%以上の看護師が「家族が行う看護ケア」と回答した項目における、看護師経験年数(看護師経験年数8 年未満の群と看護師経験年数8 年以上の群)の比較では有意な差は認めなかった。50%以下の看護師が「看護師が行う看護ケア」と回答した項目のうち入浴介助において、看護師の業務と考えている割合は看護師経験年数8年以上の群が高く、看護師経験年数8年未満と有意な差を認めた(p=0.02)。
結論:ラオスの看護ケアは診療の補助に関わる技術を中心に看護師が行い、療養上の世話の一部は家族が行っていることが明らかになった。国内外の看護活動において日本と異なる対象となる国の看護師の役割を理解することが重要であると示唆された。

著者関連情報
© 2018 日本国際看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top