自然言語処理
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直訳性を利用した機械翻訳知識の自動構築
今村 賢治隅田 英一郎松本 裕治
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2004 年 11 巻 2 号 p. 85-99

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抄録

機械翻訳知識を対訳コーパスから自動構築する際, コーパス中に存在する翻訳の多様性に起因して冗長な知識が獲得され, 誤訳や曖昧性増大の原因となる. 本稿ではこの問題に対し, 「機械翻訳に適した対訳文」に制限し, 翻訳知識自動構築を試みる. 機械翻訳に適した対訳文の指標として直訳性を提案し, これを測定する尺度として対訳対応率を定義した.
この対訳対応率に従い, 2つの知識構築法を提案する. 第一は, 翻訳知識構築の前処理としての, 直訳性を用いた対訳文フィルタリング, 第二は対訳文を直訳部/意訳部に分割し, 部分に応じた汎化手法を適用する. これらの効果は, 自動構築した知識を用いた機械翻訳による, 訳文の品質という観点で評価を行った. その結果, 後者の分割構築の場合で約8.6%の入力文について翻訳品質が向上し, 直訳性を用いた機械翻訳知識構築は, 翻訳品質向上に有効であることが確認された.

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