日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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小児呼吸器領域における適応外医薬品に関する研究
井上 壽茂
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2006 年 17 巻 1 号 p. 108-111

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抄録

日本小児呼吸器疾患学会の役員を対象に行ったアンケート調査の結果を参考に, 日本小児呼吸器疾患学会薬事委員会, ならびに将来構想委員会で検討した結果, 本学会として当面の活動対象薬を, 気管支喘息治療用吸入ステロイド薬であるブデソニド・ドライパウダー, 特発性間質性肺炎治療薬として有用性が報告され個人使用されているマラリア治療薬であるヒドロキシクロロキン, 嚥下機能検査や気管支造影検査に用いられている非イオン性水溶性ヨード造影剤を中心に取り組むこととなった。ブデソニド・ドライパウダーは小児薬物療法根拠情報収集事業対象薬としてリストアップしたが, 対象外として製薬企業による治験の準備が勧められることとなった。ヒドロキシクロロキンや非イオン性ヨード造影剤は必ずしも一般的な治療薬, 検査用薬ではなく, 保険適応がないこともあり, 使用実態が不明である。そこでエビデンス収集を目的にわが国における使用実態を把握するため小児科専門研修病院を対象にアンケート調査を行った。特発性間質性肺炎は最近5年間に28例の診断例が報告された。ステロイド無効例に対しクロロキンが適応外使用され一部の症例で有効性が認められた。嚥下機能検査は89施設で行われており, 非イオン性水溶性ヨード造影剤は誤嚥の危険性が高い場合に安全性を考慮して35施設で用いられていた。気管支造影検査は7施設で行われており, 全施設が非イオン性水溶性ヨード造影剤を用いていた。

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