臨床神経学
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症例報告
脳生検後に白質病変が出現した炎症性脳アミロイド血管症の1例
竹内 陽介村端 秀映原 靖幸中島 誠植田 光晴
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2021 年 61 巻 3 号 p. 188-193

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抄録

症例は76歳女性.認知症の経過中に初発の全身性痙攣発作で入院した.頭部造影MRIで右後頭葉を主体とした髄膜の増強効果,大脳と小脳半球に多発する微小出血を認めたが,白質病変はなかった.右頭頂後頭葉からの生検組織でアミロイド血管症を認めた.生検の3日後,右頭頂後頭葉に白質病変が出現し,炎症性脳アミロイド血管症と考え,3クールのステロイドパルス療法,プレドニゾロン経口投与で加療を行い,髄膜・白質病変は徐々に縮小した.アポリポ蛋白E遺伝子型はε2/ε3であった.本症では脳生検によって病勢が悪化する場合があり注意を要する.また,その要因の一つとしてε2アレルの関与が考慮された.

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© 2021 日本神経学会
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