PLANT MORPHOLOGY
Online ISSN : 1884-4154
Print ISSN : 0918-9726
ISSN-L : 0918-9726
特集 最先端可視化技術による植物解析~見る顕微鏡から捉える顕微鏡へ
連続切片SEM法により広がる植物オルガネラの世界
永田 典子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 32 巻 1 号 p. 11-17

詳細
抄録

走査電子顕微鏡(走査電顕 scanning electron microscope: SEM)は,細く絞った電子線で試料表面を走査させることで生じる反射電子や弾き出された二次電子などを検出し, 像を得る電子顕微鏡である.これまで医学・生物学分野においてSEMは, 光学顕微鏡(光顕)の分解能では捉えられない表面微細構造の観察に用いられてきたが,その利用は主に試料の表面解析に限定されていた.近年,SEMの検出器や電子銃といった機器の高度化, そしてオスミウムコーティングや固定法など試料調製法の改良により,様々な観察法にSEMを活用できるようになってきた.本稿では,切片 SEM法や光-電子相関顕微鏡法(CLEM),イオン液体観察法,凍結割断法など,表面解析に限らないSEM による組織・細胞の新しい捉え方を示し, それにより得られた知見を紹介する.

著者関連情報
© 2020 日本植物形態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top