2014 年 14 巻 5 号 p. 213-218
粘土鉱物は,極めて多様な用途を有する汎用されている工業材料である。一方,学術的にも,原子レベルで平滑な界面を有する,密度可変な電荷分布を有するなど,極めて興味深い特徴を有している。 界面における,無機物と有機物の相互作用は普遍的に重要な研究課題と思われるが,粘土鉱物—機能性色素複合体はその好適な研究モデルであると考えられる。近年,我々は,静電相互作用と疎水性相互作用を利用することで,界面での機能性色素の吸着密度や吸着配向を操作しうることを見い出した。本稿では,粘土鉱物—ポルフィリン色素複合体に注目し,ポルフィリン色素の吸着状態についての概説を試みる。