オレオサイエンス
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学会賞・進歩賞受賞総説論文
特異な構造を有する新規界面活性剤の合成と物性に関する研究
吉村 倫一
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2013 年 13 巻 12 号 p. 587-597

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抄録

近年,従来の単鎖型界面活性剤の性能の向上および機能性の発現を目指して,さまざまな構造の新規界面活性剤が分子設計されている。その一つであるジェミニ型界面活性剤は,単鎖型と比べて低い臨界ミセル濃度(CMC)や高い表面張力低下能などの優れた界面活性を有し,水溶液中でプレミセル形成や自発的ベシクル形成などユニークな会合挙動を示すことが知られている。本稿では,3タイプの新規界面活性剤,(1)ジェミニ型のさらなる性能の向上を期待して設計した分子内に異種の親水基または疎水鎖をもつ非対称構造のヘテロ・ハイブリッドジェミニ型界面活性剤,アミノ酸や糖を有する環境適合のジェミニ型界面活性剤,(2)ジェミニ型を延長した構造の四級アンモニウム塩タイプのトリメリック型界面活性剤,(3)鎖長18~22のアルキル鎖と2または3つの親水基を有する超長鎖型界面活性剤,の分子設計・合成とCMCや表面張力などの基礎物性ならびに水溶液中で形成する会合体の特性について紹介する。

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© 2013 公益社団法人 日本油化学会
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