日本油化学会誌
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海産ケイソウPhaeodactylum tricornutumの産生する遊離イコサペンタエン酸
板橋 豊原田 直和太田 亨松永 勝彦
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1996 年 45 巻 3 号 p. 271-273

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抄録

海産珪藻 Phaeodactylum Tricornutum に存在する遊離脂肪酸 (FFA) の組成を求めた。 FFA は, バッチ培養した定常期の試料の脂質中に 18% 含まれており, トリアシルグリセリン (TG), 炭化水素, ステロールおよび極性脂質 (PL) とともに, P. tricornutum の主要な脂質成分であった。 FFA, TG 及び PL の主要構成脂肪酸は14 : 0, 16 : 0, 16 : 1 (n-7), 16 : 2 (n-4), 16 : 3 (n-4), 18 : 1 (n-9), および20 : 5 (n-3) であった。FFA 中 38% が 20 : 5 (n-3) であり, FFA に多量の 20 : 5 (n-3) が含まれる特徴を認めた。一方, 20 : 5 (n-3) 含量は PL では全脂肪酸中 17%, TG では 9% にすぎなかった。TG に対するパーゼ活性はほとんど認められず, PL に対してホスホリパーゼ A (PLase A) 活性が認められた。以上の結果から, 本珪藻の遊離 20 : 5 (n-3) は, 主に PLase A の作用により PL から生成すると考えられる。PLase A 1活性がPLase A 2活性よりも高いことを考察した。

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