造園雑誌
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クマイザサ優占群落における野生草花の保全を目的とした時期を変えた刈取りの影響
大窪 久美子前中 久行
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1991 年 55 巻 5 号 p. 193-198

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抄録

野生草花の保全を目的とする半自然草地の管理を検討するため, クマイザサSasa senanensisの優占程度が異なる二つの群落において, 時期を変えた刈取り実験を行った。刈取り区には6, 7, 8, 9月刈り, 無処理区を設け, 二年続けて同じ処理を行った。その間, 無雪期に毎月一回追跡調査を行い, 群落の動態を解析した。また, 地域周辺でみられる主な植物について, フェノロジー調査を行った。マツムシソウ等の草本植物を庇陰してしまうクマイザサは, 8, 9月刈で再生を著しく抑制された。一方, 野生草花の開花期は7月下旬から8月下旬に集中していた。刈取りの競合植物への影響が最大になる時期と野生草花への影響が最小になる時期とで刈取りの適期を議論した。

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© 社団法人 日本造園学会
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