耳鼻咽喉科臨床
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新 Cephalosporin 系抗性物質 Cefoperazone の試験管内抗菌力, 水溶液の安定性および化膿性中耳炎に対する局所的応用に関する検討
Cefoperazone の局所投与に関する研究
岩沢 武彦
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1980 年 73 巻 9 号 p. 1481-1495

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抄録

新 cephalosporin 系抗生物質CPZに関して, その試験管内抗菌力, 水溶液の安定性および化膿性中耳炎に対して局所的に応用した結果, つぎのとおりの結論がえられた.
1) 試験管内抗菌力: CPZは, 寒天平板希釈法で各標準菌株のグラム陽性および陰性菌に対して強い抗菌力を有し bload spectrum であった. 化膿性中耳炎の耳漏分離の coagulase 陽性ブドウ球菌80株に対する抗菌力 (MIC) は≦0.2~50μg/mlの範囲内に分布し, そのMICの peak は1.56μg/mlに認められた. 病巣分離の Escherichia coli, Proteus mirabilis, Klebsiella pneumoniae などには≦0.2~12.5μg/mで0.39μg/mlにMlCの peak がみられた. また, Pseudomonas aeruginosa には. 0.78~≧100μg/mlで6.25μg/mlに peak が認められた.
2) 水溶液の安定性: CPZ 20mg/ml水溶液の安定性は5℃, 37℃14日間保存で色調, pHに変化なく, その抗菌力価は5℃で9日, 37℃で7日まではまったく変動がみられなかった.
3) 臨床治療成績: 急性および慢性化膿性中耳炎31例に対してCPZ 20mg/ml点耳液を用い5~24日間にわたり点耳耳浴治療を行なった結果, 有効21例, やや有効6例および無効4例となり, その有効率は, 有効, やや有効を合算すると27例87.1%の好成績がえられた. なお, とくに臨床的に副作用の発現は認められなかった.

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