日本看護科学会誌
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寝たきり老人の心拍数変化から推定した全介助入浴時の生体負担
南沢 汎美竹尾 恵子
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1988 年 8 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

寝たきり老人が昇降装置付浴槽を利用して自動動作をほとんど行うことなく全面的に介助を受けて入浴する場合の生体負担について調べた. テレメーターを用いて入浴中も心拍を連続的に測定し, その変化から負荷の程度を推定した. 入浴に伴う他動的な体動や湯浸の刺激などに対応して心拍数の増加が認められた. 入浴を脱衣・移動, 洗浄, 湯浸, 移動・着衣に4区分してその負荷の程度を調べると, 対象者8名中5名においては洗浄あるいは湯浸中に心拍数は最大となった. 一方他の3名は刺激に対応した心拍の変化は全体的に緩かで, 洗浄や湯浸中に著しい増加は認められなかった. 入浴中平均心拍数の安静時心拍数に対する比は8名の平均で1.20±0.08となり, これを通常の自立入浴法での労作に比較するとエネルギー代謝率(R. M. R.)でほぼ1/3に相当すると推定された. また被験者間に観察された反応の差については今後の研究課題であることを示唆した.

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