日本看護科学会誌
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クリーンルームと一般病室における空中浮遊真菌・細菌
石黒 彩子土井 まつ子渡邉 憲子
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1994 年 14 巻 4 号 p. 60-66

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抄録

クリーンルームおよび一般病室における空気の清浄度ならびに病原菌の分布について検討するために, 空中浮遊真菌・細菌叢をピンホールサンプラーを用いて調査し, 以下の結果を得た。
1 クリーンルームについては, 無人の部屋からは微生物が検出されなかった。患者が入室している4室からは, 空気1立方フィート中に浮遊真菌0~0.6, 浮遊細菌0.6~1.6個検出された。看護者の動きや物品の取扱には十分注意しなければならない。
2 一般病室および廊下の浮遊真菌数はそれぞれ2.6~12.3と7.6個/cf, 浮遊細菌数はそれぞれ0.8~2.7と8個/cfであり, クリーンルームと比べて汚染度が高かった。
3 病原性真菌属はAlternaria, Aspergillus, Cladosporium, Curwularia, Paecilomyces, Penicillum, ScopularioPsis, Cryptococcus, Rhodotorulaが総コロニーの72%, 病原性細菌属はStaphylococcus, Pseudomonasが27%検出された。抵抗力の減弱した患者が病棟内の空気から日和見感染を起こす可能性があることが示唆された。

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