日本看護科学会誌
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研究報告
入院中の末期がん患者の在宅療養移行の実現と患者・家族の状況および看護支援・他職種連携との関連性の検討
──在宅療養移行を検討した患者を対象とした二次分析の結果
福井 小紀子
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2007 年 27 巻 3 号 p. 3_48-3_56

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抄録

本研究では,入院中の末期がん患者の在宅療養移行の実現と,患者・家族の状況および看護支援・連携の状況との詳細な関連を明らかにするために,研究の全対象である53病院82病棟の末期がん患者464例のうち,在宅療養移行の検討を行った155例に限定した二次分析を実施した.病棟看護師に対して質問紙郵送調査を行い,ロジスティック回帰分析にて在宅療養移行の実現・非実現への関連要因を検討した.その結果,患者・家族の状況のうち,患者が入院中に点滴をしていないこと,酸素療法を受けていないこと,食事の介助が必要でないこと,および家族の在宅療養の希望があること,また,看護支援・連携の状況のうち,受け持ち看護師が,緊急時の連絡体制・受入体制の保証を説明していること,および訪問看護師と連携をとっていることの計6項目が関連要因として示された.本研究にて明らかにされた各要因の整備により,在宅療養へ移行できるがん患者の増加が望まれる.

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© 2007 公益社団法人 日本看護科学学会
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