2006 年 6 巻 4 号 p. 74-93
近年、著者らの一部は3次元地質構造の簡便なモデル化のために地質構造形成史の知見からモデルを拘束する手法を開発した。本研究では同手法の位置付けを明らかにするとともに、同手法のこれまでの適用例よりも地質学的に複雑な地域 (新潟県中越地方南部地域) のモデル化を試みて手法の有効性を確認する。我々の位置付けでは、同手法は、既存の地質図を3 次元的かつ定量的に再構成するための簡便な手段である。モデルの単純化や地質学的知見の曖昧さを考慮すると、探査データの少ない地域における巨視的なモデル化に有効と期待する。新潟県中越地方南部地域のモデル化については、地質構造形成史で重要と考えられる情報と地質図データ及び比較的少量の探査データを併せて用いることにより大局的な3 次元地質構造をモデル化することができた。このモデルは、地震空白域であり将来の地震発生が危惧される同地域の基礎的な地盤モデルとして役立てられる。