保険学雑誌
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死亡保障領域におけるリスク認知と生命保険需要
林 晋
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2011 年 2011 巻 614 号 p. 614_21-614_40

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抄録

リスク認知が保険需要形成プロセスの出発点であると想定されるにもかかわらず,実際の保険需要はかならずしもリスク認知から形成されるとは限らず,論理的,合理的,体系的思考と行動の脆弱性を併せ持つことが指摘されている。また,こうした特徴は,企業保険よりも家計保険において強く観察されると指摘されている。そこで本稿では,家計における生命保険需要形成プロセスの特徴を,伝統的な死亡保障領域におけるリスク認知と保険需要との関係をパス解析で実証的に検証した。
その結果,生活者のリスク認知〜生命保険需要のプロセスは一元的でなく,次のような特徴があることが明らかになった。
(1)生命保険需要の出発点がリスク認知に認められる場合でも,リスク保障ニーズを経由するタイプとそれを経由しないタイプの2通りがあり,それぞれに人口学的属性の特徴が異なる。
(2)リスク認知が生命保険需要にまで至らずにリスク保障ニーズで留まるタイプがある。

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© 2011 日本保険学会
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