地質学雑誌
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論説
房総半島南部,西岬層で観察される混在岩体の形成プロセスとメカニズム
道口 陽子
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2008 年 114 巻 9 号 p. 461-473

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抄録

房総半島南部,館山市西川名に分布する上部中新統~下部鮮新統の西岬層の整然層内において,以下のような特徴をもつ混在岩体が含まれることを見出した.1)異なる構造で区分される大小さまざまな6つのドメインが整然層中に集中して含まれること,2)各ドメイン中には局所的な地層の逆転,褶曲,断層が多数発達していること,3)混在岩体と周辺地層の整然層との間は断層で境し,液状化層が挟まれること,4)周辺の整然層の地層と混在岩体中の地層は一つの例外を除いて対比できないこと,などである.露頭の産状・変形構造の形態,薄片観察などから,この混在岩体は液状化で生じた海底地すべりによってもたらされたと解釈できた.すべり方向は,褶曲軸の姿勢から南から北方向であったと推察され,その方向は,古相模トラフの方向に直交していることから,混在岩体は伊豆弧前弧斜面で生じた海底地すべり移動体であると考えられる.

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© 2008 日本地質学会
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