地質学雑誌
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総説
高等学校における地学教育の現状と問題点
田村 糸子
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2008 年 114 巻 4 号 p. 157-162

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抄録

高等学校において地学教育の機会が減少の一途をたどっている.その要因の一つは,2003年度より施行された現行の学習指導要領である.「情報」・「総合的な学習の時間」・理科の3つの総合的な選択必修科目の導入による,理科の時間数減少の中で,受験に関係の少ない地学が最も削減の影響を受けたと予想される.「地学I」の全高等学校在学者数に対する履修率は3%で,理科の7つの選択必修科目の中で最も少ない.また,地学の教員が減少していることも大きな要因の一つである.高等学校生徒数の減少に伴い教員数も削減され,地学教員退職後の補充がほとんどされてない.
地学が軽んじられているのは,高等学校の教育が,進路重視,入試最優先という実情にあると考えられる.今後,教育本来の目的を取り戻し,広い視点から高等学校教育を見つめ直す必要がある.

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© 2008 日本地質学会
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