地質学雑誌
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論説
テフラ鍵層に基づく銚子地域の犬吠層群小浜層と房総半島の上総層群黄和田層, 大田代層および梅ヶ瀬層との対比
藤岡 導明亀尾 浩司
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2004 年 110 巻 8 号 p. 480-496

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抄録

銚子地域の犬吠層群小浜層に挟在するテフラと, 房総半島の上総層群黄和田層~梅ヶ瀬層に挟在するテフラを, 重鉱物組成, 火山ガラスの形態およびその化学組成に基づいて対比した. その結果, 小浜層のテフラ鍵層Ob1, Ob2, Ob4a, Ob4c, Ob5a, Ob5.1, Ob5.6, Ob5.7, Ob6a, Ob6cおよびOb7bはそれぞれ, 黄和田層のテフラ鍵層Kd39, Kd38, Kd25, Kd24, Kd16およびKd5A, 大田代層上部のテフラ鍵層O7, O3, 梅ヶ瀬層中部のテフラ鍵層U8, U7およびU6Aに対比された. あわせて行った石灰質ナンノ化石の検討によってもこの結果は支持される. したがって, 小浜層は黄和田層下部~梅ヶ瀬層中部に相当することになる. また年代学的なデータに基づくと, 小浜層中部~上部の堆積速度は極めて遅いものの, 従来この層準に指摘されていた約50万年に及ぶ堆積間隙は存在しないことが判明した. この層準の極めて遅い堆積速度と堆積物の粗粒化の原因を明らかにするためには, 古環境学的および古海洋学的な検討が必要である.

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© 2004 日本地質学会
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