1995 年 12 巻 2 号 p. 157-163
リンゴ台木マルバカイドウ‘盛岡セイシ’の胚珠培養を用いた効率的な実生育成にっいて検討した. 満開後10, 17および24日目に, 放任受粉の果実から胎座と果心の一部を付けた胚珠を切り取り, 種々の濃度 (12~25%) のショ糖を添加した修正 Nitsch (1969) 培地に置床した. 暗黒下で約110日間培養後, 生長した胚を培養胚珠から摘出し, 発芽のために, BA 1mg/lおよびGA4 2mg/lを添加した1/2濃度の Linsmaier & Skoog 培地に移植して, 照明下で培養した. 培養胚珠中の生長胚率および実生獲得率は, より生育の進んだ果実の胚珠を材料に用いた場合ほど高かった. 満開後24日目の胚珠 (初期球状胚を含む) をショ糖濃度15%の培地で培養した場合に, 実生獲得率は50%で最も高かった. また, 満開後10および17日目の胚珠 (前胚を含む) でも, 高ショ糖濃度 (21, 25%) の培地で培養することにより, 低率 (5~20%) ながら実生を得ることができた.