澱粉科学
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細菌β-アミラーゼ抗体と免疫化学反応を示す耐熱性α-アミラーゼの分離
金 在英南森 隆司青木 健次新家 龍
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1989 年 36 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

 B.creusのB-アミラーゼで調製したB-アミラーゼ抗体を用いる抗体抗原反応を利用して耐熱性アミラーゼ生産菌の選択・分離を試みた.その過程で,β-アミラーゼ抗体と免疫化学反応性を示す耐熱性α-アミラーゼを生産する好熱性菌株(B-1菌株)を分離し,B.steamthermophilus B-1と同定した. B-1菌株の生産するα-アミラーゼを硫安塩析で濃縮し,イオン交換クロマトグラフィー,ゲル濾過などで精製した後,Mono-Q HR5/5カラムを用いるFPLCで三つの酵素画分(画分I,II およびIII)に分画できた.3画分とも可溶性澱粉を分解してグルコース,マルトース,マルトトリオースを生成したが,画分III の分解生成物はグルコースが主体であった.生澱粉に対しては,3画分ともマルトースとマルトートリオースが主分解生成物であった.画分III は可溶性澱粉と生澱粉とで分解生成物を異にすることやβ-アミラーゼ抗体と免疫化学反応を示す主成分であることなど興味ある事実が認められた.

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© 日本応用糖質科学会
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