澱粉工業学会誌
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馬鈴薯澱粉の粘度に関する研究(第7報)
乾熱および湿熱処理による無機リンの変化について
杉本 勝之鈴木 俊哉後藤 富士雄
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1969 年 17 巻 4 号 p. 332-337

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抄録

 市販の新旧の馬鈴薯澱粉の製造年度の異る試料を60~120℃ で乾熱および湿熱処理した場合の無機リンの変化を調べた。(1)短時間(7時間)の乾熱処理では80℃ 以上で変化が見られ,無機リンの増加は試料の新らしいもの程大きかったが,澱粉中のカルシウムとマグネシウムの含量の高いものは増加が少なかった。 長時間(22時間)120℃ で乾熱処理した場合は古い試料では無機リンが全リンに対して12~15%になるとそれ以上は反応が進まず,無機リンの増加量は2~3%であったが,新らしい試料は処理前の無機リンが少ないので増加量は9・5%と大きかったが,それでも無機リンは11%程度であった。 (2)市販澱粉をその水分状態(約18%)で遠沈管またはアンプルに入れて湿熱処理をすると,60℃ でも変化が見られ,乾熱処理と同様,製造年度,処理温度および澱粉中のカルシウムとマグネシウムの含量によって無機リンの増加量に差があり,120℃,22時間の処理で無機リンは77%にも達した。

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© 日本応用糖質科学会
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