澱粉工業学会誌
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CMSに関する研究(第3報)
CMSに関する研究(第3報)
池田 早苗
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1963 年 10 巻 2 号 p. 74-78

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抄録

 Na-CMS及びCMS遊離酸などの澱粉誘導体の赤外線吸収スペクトルが,アルカリハライド錠剤補償法によつて容易に得られることが明らかになつた。 Na-CMS,CMS遊離酸などの主成分を,これらの原料澱粉によつて補償して赤外線吸収スペクトルを測定すれば,置換基や不純物の吸収が大きくなり,検出確認が容易になることがわかつた。 通常法及び補償法によつて,馬鈴薯澱粉,アルカリ澱粉,Na-CMS並びにCMS遊離酸の赤外線吸収スペクトルを測定し比較検討して,-COONaの吸収が主として波数1610~1620cm-1に,一COOHの吸収が1740~1750cm-1の位置にあることを認め,CMSの特性基であるカルボキシル基の存在を確認し,CMSの同定が可能であることを認めた。 なお,CMSの微量不純物として存在する硫酸ナトリウムが赤外線吸収スペクトルに及ぼす影響を検討し,補償:法によつてCMS1.5mg中の15γ 程度の硫酸ナトリウムが容易に検出されること'を知つた。又,Na-CMS製造工程における過剰のアルカリの申和剤として硫酸を用いた場合,生成する硫酸ナトリウムの洗浄法による除去がかなり因難であることがわかつた。したがつて中和剤としては酢酸を用いる方が適当と思われる。 おわりに本実験に種々有益な御助言をいただき,御校閲を賜わつた本学部武市一孝教授並びに西田義郎教授に深甚なる謝意を表します。また実験に協力された前川稔君と赤外線吸収スペクトルの測定に種々御便宜を与えられた東邦レーヨン(株)研究所及び試料の一部を提供された日本資糧工業(株)に厚く感謝いたします。

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