2014 年 4 巻 2 号 p. 140-146
ラクト-N-ビオシダーゼ (LNBase) は,乳児の腸内で優勢なビフィズス菌が有するヒトミルクオリゴ糖分解酵素であるが,その立体構造はこれまで未報告であった。本研究ではBifidobacterium bifidum JCM1254由来のGH20に属するLNBaseの触媒ドメインのX線結晶構造解析を行い,反応産物 (ラクト-N-ビオース) と阻害剤 (LNBチアゾリン) との共結晶の構造を共に分解能1.8Åで決定した。その結果,活性中心での二糖に対する基質認識の詳細が明らかになった。さらには,結晶構造中のサブサイト (-1) における糖のコンホメーションから,GH20の反応機構におけるピラノース環のコンホメーション変化を推定した。