1972年,英国のH4unsfieldによって開発された頭部診断用Computereized Tomograhy Seanner(CT Scanner)は,日ならずして全世界に普及し,外科的観点からは,頭蓋内各種space occuying leisianの検索,各種血管性障害の鑑別などに関して,すでに不可欠な検査法としての地位を確立している.内科的観点にあっても,吝種血管性障害の鑑別はもとより,変性.萎縮.退行.奇形などの検出,あるいはけいれん性疾患における器質損傷の有無の検討に関して,従来のレ線撮影手技に比べて明らかに明確ですぐれた情報をもたらすことから,その応用範囲は日増しに拡大している.しかし,神経科領域においては,とくに興味ある対象疾患の症例が豊富でないこともあって,そうした特定の疾患のCT scanningの結果に関する報はなお少なく,その評価の方法ないし基準もいまだに統一されるに至っていないのが実情である.
著者は,たまたままとまった数の初老期痴呆患者のCTscanningを実施する機会にめぐまれ,.萎縮の様態 について系統的な研究を続け,萎縮部位,程度などの簡明な表示方法の確立を志向しているが,その予報段階での知見として,まず各症例のCT scan像の基本的な視覚評価と老年痴呆例および健常例のそれちを比較した結果を報告する.