関西医科大学雑誌
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放射線照射による非小細胞肺癌株における多剤耐性能への影響
河野 由美子宇都宮 啓太谷川 昇
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2016 年 67 巻 p. 15-19

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抄録

がんにおける多剤耐性能(Multi-drug resistance; MDR)は化学療法の治療効果を減弱させる機序として知られているが放射線照射ががん細胞のMDRにどう影響するかは明らかにされていない.核医学診断薬であるTc-99m methoxyisobutylisonitrile (MIBI) はMDRの主要因である細胞膜に存在するMDR関連ATP-binding cassette (ABC) transporterを介しdoxorubicinやcisplatinなどの抗癌剤と同様の薬物動態をとることが知られている.本研究においてわれわれは,非小細胞肺癌株H1299を用いて,in vitroin vivoの両方において放射線照射が,がん細胞のMDRにどう影響するかをMIBIとdoxorubicinを用いて評価し,放射線照射後の薬物動態を観察した.その結果,放射線照射により細胞増殖が抑えられている期間にMDRの抑制効果を有することが明らかになった.そして, それは可逆的変化であるため化学放射線療法の最適な照射プロトコールの検討が必要だということが見出された.

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© 2016 関西医科大学医学会
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