関西医科大学雑誌
Online ISSN : 2185-3851
Print ISSN : 0022-8400
ISSN-L : 0022-8400
末梢神経系におけるSox2の存在意義
小池 太郎山田 久夫
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 66 巻 p. 7-11

詳細
抄録

Sox2タンパク質はSoxB1ファミリーに属する転写因子である.中枢神経系において,その働きは初期発生の神経管や成獣脳における神経幹細胞でよく検索され,神経幹細胞の生存,増殖,分化を調節することが知られている.われわれは,成獣の末梢神経系におけるSox2タンパク質の存在およびその役割を解析したところ,Sox2タンパク質がサテライト細胞,無髄シュワン細胞および特定受容器を形成する終末シュワン細胞に局在することを突き止め,mRNAの存在も明らかにした.さらにサテライトグリアではSox2が細胞の生存に関与することをノックダウン実験により突き止めた.また,Sox2は脊髄神経節ニューロンの分化や髄鞘形成の調節にも関与するという報告もあることから,胎生期のみならず成獣になっても末梢神経系細胞にとって意味のある転写因子であると考えられる.本総説では,末梢神経系におけるSox2の分布と役割について述べる.

著者関連情報
© 2015 関西医科大学医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top