関西医科大学雑誌
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プロポフォールがマウスパーキンソン病モデルにおける ドパミン神経傷害に及ぼす影響
久保 古寿江稲田 武文新宮 興
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2012 年 63 巻 p. 189-192

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抄録

ミクログリアは中枢神経系における主な免疫担当細胞である.近年パーキンソン病などの慢性神経変性疾患の病態にミクログリアの活性化とりわけシクロオキシゲナーゼ(COX)の活性化の関与が示唆されている.本研究では,静脈麻酔薬であるプロポフォールがマウスミクログリアのCOX活性を抑制し,プロスタグランジンE2の産生を抑制することを明らかにした.さらに,マウスパーキンソン病モデルにおいて,プロポフォール投与が,ドパミン神経数減少の有意な抑制とミクログリアの活性を抑制することを明らかにした.これらの結果より慢性神経変性疾患を伴う患者の鎮静や麻酔にプロポフォールを用いることで,原疾患の炎症に対してプロポフォールが有利に作用しうることが示唆された.

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© 2012 関西医科大学医学会
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