ガスハイドレートの解離熱(潜熱)は,自然界における生成・解離速度を決定する重要なパラメータの一つである.本研究では,天然ガスの成分であるメタンとエタンをゲストガスとする混合ガスハイドレートを人工的に生成し,熱量計による解離熱の直接測定を行なった.ガスハイドレートからガスと水に解離する場合,解離ガスの単位mol当たりの解離熱は純粋なメタンハイドレートとエタンハイドレートの解離熱の中間に分布し,エタン組成比とともに増加した.特に,ハイドレートのエタン組成比が数%の領域で増加率が大きかった.また,ガスハイドレートからガスと水に解離する場合,解離ガスの単位mol当たりの解離熱は,構造I型・II型の結晶構造の違いに起因する水和数の変化に影響されることが定量的に示された. 単位重量当たりに換算した混合ガスハイドレートの解離熱は,純粋なメタンハイドレートやエタンハイドレートの解離熱よりも大きく,その差はガスと水に解離する場合の解離熱では6-30%程度,ガスと水に解離する場合の解離熱では3-8%程度であった.