雪氷
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山形県新庄市における降雪の化学組成の特徴および酸性雪の経年変化(1991/92年~2002/03年)
赤田 尚史柳澤 文孝奥村 信貴鈴木 伸一朗阿部 修佐藤 威小杉 健二望月 重人佐藤 篤司
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キーワード: 新圧市, 降雪, 酸性雪, 長期観測
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2009 年 71 巻 4 号 p. 253-262

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抄録

新庄市における降雪の化学組成の特徴について明らかにすることを目的に,1999-2000年冬季(1999/00)から2002-2003年冬季(2002/03) までの4冬季間に降雪を1日毎に採取し,pH, 電気伝導度(EC)および主要化学成分の濃度について検討を行った.その結果,各冬季とも全試料中の70%以上がpH5.0以下の酸性雪であり,その平均値は4.7から4.9の範囲であった. 海塩起源成分は, 北西の風が吹いた際に高くなる傾向が認められた. 酸性化成分のnss SO4 2-は同じ酸性化成分のNO3-に比べてやや高く,nas SO4 2-/NO3-当量濃度比からNO3- は主に採取地近傍起源であり, 高濃度のnss SO4 2-濃度が認められた試料については, 大陸からの長距離輸送成分の影響を受けた可能性が示唆された.アルカリ成分であるnss Ca2+濃度は,黄砂の飛来に伴い濃度が上昇していることが確認された.また,これまでに報告されているデータも加えた1991年から2003年までの11冬季における降雪の酸性度の経年変動についても検討した結果, 年々酸性化が進展しており, その酸性化には主にNO3-が寄与している可能性が高いことが明らかとなった.

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© 2009 公益社団法人 日本雪氷学会
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