栄養学雑誌
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障がい者スポーツコミュニティに所属している成人肢体不自由者の食生活の包括的評価
中村 彩希秦 希久子稲山 貴代
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2014 年 72 巻 2 号 p. 91-100

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抄録

【目的】障がい者スポーツコミュニティとして,障害者スポーツセンターを利用してスポーツ活動を行う成人肢体不自由者を対象に,理論枠組みに基づく調査票を用い,本コミュニティに所属する人々の食生活の包括的評価を行うことを目的とした。
【方法】障害者スポーツセンターの利用者を対象に2012年6月~7月,無記名の質問紙調査を実施した。調査票は739部配布し,回収された652名のうち性,年齢,障害名,居住形態が不明の者を除く575名が解析可能であった。そのうち未成年を除いた肢体不自由者394名を解析対象とした。調査枠組みは,食生活満足度,主観的健康感および健康・栄養状態,食物摂取状況,行動,行動変容段階,準備要因,食環境,属性とした。性別,年齢区分別(若・中年,高年)にグループ間を比較し,名義尺度はχ2検定,順序尺度はMann-WhitneyのU検定を行った。
【結果】食生活満足度は91%が「とても/まあまあ満足している」と回答した。男性より女性で良好な回答が多かった主な項目は,行動および食環境であった。男性において若・中年より高年で良好な回答が多かった主な項目は,行動変容段階およびセルフ・エフィカシーであった。
【結論】スポーツコミュニティに所属する成人肢体不自由者の食生活は全体的に良好であった。男性より女性が良好であり,男性は若・中年より高年で良好であった。今後は良好な食生活を説明する要因を明らかにする検討が必要である。

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© 2014 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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