栄養学雑誌
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ラットの食餌性及び甲状腺性高コレステロール血症に及ぼす調製豆乳の影響
石井 孝彦山口 迪夫
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1993 年 51 巻 2 号 p. 73-79

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抄録

本実験は, 調製豆乳の血清コレステロール (Chol) 低下作用を調べることを目的とした。
1) 実験I: 調製豆乳に添加してある植物油脂, 大豆油, ひまわり油, コーン油及びリン脂質 (大豆レシチン) の血清 Chol 上昇抑制効果を調べた。血清 Chol は, カゼイン・ラード群275mg/dlに比べ, ひまわり油166mg/dl, コーン油175mg/dl, 大豆油群227mg/dlと低い値であった。大豆レシチン0.3%添加群, 3%添加群の血清 Chol は186mg/dl, 160mg/dlであり, 無添加 (コーン油群175mg/dl) に比べ, 3%添加群で血清 Chol 上昇抑制効果傾向があったが, 有意ではなかった。
2) 実験II: チオウラシル (TU) 投与により誘導された甲状腺性高 Chol 血症における調製豆乳と牛乳の血清 Chol 低下作用を調べるため, ラットを0.3%TU飼料で3週間飼育した。血清T3濃度は非投与群の1/2~1/3となり, 血清 Chol 濃度は調製豆乳群67mg/dl, 調製豆乳TU群119mg/dl, 牛乳群70mg/dl, 牛乳TU群128mg/dlであった。血清 Chol 濃度は, 調製豆乳飼料と牛乳飼料のTU投与群間, 非投与群間では差がなかった。
調製豆乳は, 前報の結果と併せると外因性 (食事性) Chol 上昇抑制効果は牛乳より高かったが, TUによる内因性高 Chol 血症改善効果は牛乳と同じくらいであった。

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