栄養学雑誌
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高圧加熱処理したハマチ不可食部添加による練り製品の製造
徳江 千代子片岡 栄子杉 二郎
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1985 年 43 巻 3 号 p. 149-157

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抄録

冷凍スケトウダラすり身および豚挽肉にハマチ不可食部の高圧加熱含水試料を添加して, 練り製品を製造した。すなわち,“あし”の強さを必要としない, むしろソフト感, 香り, 味, 色などの要素が重視されるつみれ, さつま揚げ, 肉団子さらに味および香りを主にした手製かまぼこ様製品の4種類に限定して製造し, レオメーターによるテクスチャー測定と官能検査を行った。一方, 添加用イナダおよびハマチの不可食部と可食部については, 脂肪酸組成と一般成分分析を行い, 次の結果を得た。
1) イナダおよびハマチの一般成分については, たん白質含量は可食部のほうが多く, 脂質については, イナダでは可食部が多く, ハマチでは不可食部のほうが多く認められた。灰分, カルシウムについては, 両魚種とも不可食部のほうが数倍多く認められた。
2) イナダおよびハマチの脂肪酸組成については, 飽和脂肪酸がそれぞれ33%と32%, モノエン酸が45%と50%, ポリエン酸が22%と18%であり, その主要な構成脂肪酸は,C16:0, C18:1, C20:1, C22:1, C22:6で, 多量のドコサヘキサエン酸 (C22:6, 10~14%) が認められた。イナダおよびハマチ不可食部と可食部の差は, ほとんど認められなかった。
3) 冷凍スケトウダラすり身および豚挽肉に, ハマチ不可食部の高圧加熱含水試料を5%および10%添加してレオメー・ターによるテクスチャー測定を行った。つみれについては5~10%添加, さつま揚げについては5%添加によい結果が得られた。官能検査による食味評価を行った結果は, 香り, 色, 味, 硬さ, 弾力性および総合評価の各項目において, つみれが良好な結果を示し, テクスチャー特性値の裏づけを得た。なお高圧加熱含水試料を添加したため, 魚臭については全く感じられなかった。

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