2020 年 35 巻 2 号 p. 47-51
51歳,女性。20年前から右外眼角部に硬結が出現した。4ヵ月前から硬結が拡大し,開瞼困難を自覚したため当科を受診した。病理組織学的検査で真皮全層から皮下組織に小型の腫瘍細胞の索状構造を伴う広範囲の浸潤を認めた。Syringomatoid carcinomaと診断し,水平マージン1 cm,深部マージンは骨上もしくは一部側頭筋を含めて切除,眼瞼は全層切除とした。再建は眼瞼粘膜には粘膜移植をし,欠損皮膚には正中前額皮弁,頬皮弁を行った。術後2年時点で明らかな転移・再発を認めていない。Syringomatoid carcinomaにより開瞼困難を来した報告は少ないが,本疾患は眼瞼にも生じる腫瘍であるため,本症例のような機能障害を来しうる。