前額部に生じた血管肉腫の72歳男性例を経験した。臨床は紅色腫瘤および小結節とその周囲に広がる暗紫色斑で, 出血性に乏しいことを除けばほぼ典型的。組織学的には腫瘍は類円形から紡錘形の核をもつ異型の細胞からなり, 真皮浅層で一部脈管腔様の構造をなす。
腫瘍細胞はPAS陰性, ytokeratin陰性, vimentin陽性。第VIII因子関連抗原は脈管腔様構造を示す部位のみで陽性。電顕的には腫瘍細胞の胞体内に空胞形成, Weibel-Palade様の穎粒がみられた。治療は腫瘍壊死因子 (TNF) の局注を行うも著効は得られなかった。