2010 年 25 巻 3 号 p. 317-323
進行期の乳房外パジェット病に対する治療に関し,最近ではドセタキセルが有効であったとの報告がみられている。しかし,現時点ではEBMに基づいたプロトコールも,保険適応になっている薬剤も存在しない。薬剤を保険適応とするには治験が必要であり,企業の協力を得るためにはその薬剤が有効である可能性が高いことを示す必要がある。そこで,今まで用いられることの多かったフルオロウラシル系の薬剤とドセタキセルを用いた場合の奏功率,予後について進行期乳房外パジェット病19例で統計学的な調査を行った。その結果,奏功率および疾患制御率はドセタキセルで30.8%および77.0%,フルオロウラシル系で20.0%および40.0%であり,フルオロウラシルに比べ,ドセタキセルの方が有効性が高い可能性が示唆された。まだ症例数が少ないため,今後さらに集積して検討する必要がある。