Skin Cancer
Online ISSN : 1884-3549
Print ISSN : 0915-3535
ISSN-L : 0915-3535
投稿論文
下口唇熱傷瘢痕癌の1例
青木 繁大槻 佑可子木田 達平土田 幸英原科 孝雄伊崎 誠一佐藤 良博
著者情報
ジャーナル 認証あり

2010 年 25 巻 2 号 p. 200-204

詳細
抄録

39歳,男性。1981年に,風呂給湯器のガス爆発により顔面と上半身に熱傷を受傷し近医に入院となり,保存的治療を受けた。上皮化治癒したために退院となった。退院後3年経過した頃より,常に口唇が荒れ,時に出血と糜爛を認めることがあった。2005年2月より,下口唇に隆起性病変を認め,2005年11月より結節性病変が出現したので,近医皮膚科で生検施行され,ボーエン病の診断で当科に紹介された。全身麻酔下で,腫瘍辺縁より5mm離し一塊に切除した。永久病理標本で扁平上皮癌の診断を得たので,5mm追加切除し口腔粘膜弁により再建した。術後1年経過したが,機能的・整容的に良好で,再発も認めない。我々の渉猟し得た限りでは,文献的に口唇の熱傷瘢痕癌は,本邦では上口唇で1例,下口唇では,本症例だけである。海外では,口唇熱傷瘢痕癌は2症例の報告があり,いずれも下口唇であった。

著者関連情報
© 2010 日本皮膚悪性腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top