音声言語医学
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総説
小児声帯結節に対する音声治療
前川 圭子
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2024 年 65 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

声帯結節は小児の音声障害の最も多い原因疾患である.声の濫用や誤用が成因のため,成人例ではまず音声治療を行うが,小児例では自然軽快が期待されるため,本邦では積極的な治療介入を行わない施設が多い.しかし,小児期に嗄声が重い症例やアレルギー疾患をもつ女児では,思春期以降も音声愁訴が残りやすい.また,小児でも成人と同様,音声障害を自覚し,社会参加上の不利があるとの報告がある.これらを踏まえ,少なくとも音声予後の不良が予想される小児声帯結節例には音声治療を行うべきであろう.
当院では音声治療を保護者同席で行っている.声の衛生指導では,叫び声以外は禁止せず,患児自身に発声の悪習慣を気づかせ,修正させる.音声訓練では,主に半遮蔽声道エクササイズを利用している.近年,小児に対する音声治療の効果を示す報告が増えてはいるが,十分にデザインされた研究は多くなく,さらなる検討が求められる.

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© 2024 日本音声言語医学会
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