応用地質
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リアルタイム火山ハザードマップの必要性と有効性
北海道有珠火山を例として
中筋 章人
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2008 年 49 巻 5 号 p. 293-303

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抄録

2000 (平成12) 年4月に発生した北海道有珠山噴火災害は, 一人の犠牲者も出さずにスムーズな避難活動が行われたが, その避難活動を支援したものの一つとして「有珠山火山防災マップ」が注目された. しかしながら, その後1か月におよび時々刻々と変化した噴火口や地盤変動あるいは熱泥流の発生などの火山活動に対しては, 紙媒体のマップでは迅速に対応しきれなかった.
本稿では, このように刻々と変化する火山活動の防災対策にリアルタイムで対応するために, 電子媒体による火山ハザードマップと防災システムの必要性と有効性を論じた. とくに噴火活動は, 火砕流など高速で移動する現象が多いことから, 噴火が始まってからシミュレーションで影響区域を計算したのでは間に合わない. そこでGISを活用して, 事前に多種多様な現象と規模の影響範囲を数値シミュレーションしておき, 噴火の前兆あるいは火山活動の変化段階で, 専門家の判断に応じて最適なものを取り出して表示するシステムが有効であると考えた. さらに, 状況に応じた緊急避難活動にもリアルタイムで対応し, その活動を支援する防災システムの必要性も提言した.

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© 日本応用地質学会
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