応用地質
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落石の三次元数値シミュレーションに関する研究
数値解析の方法と直線型斜面へ適用した場合
細谷 昭悟岩間 倫秀中根 昌士伊藤 大輔氏平 増之
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2003 年 44 巻 1 号 p. 25-35

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抄録

落石に対する防護壁, 防護柵の強度や敷設範囲を決定する段階では落石の落下速度, 回転速度, 落下経路, 跳躍量, 走向方向への広がり, 衝撃荷重などの落石特性値をできるだけ正確に推定する必要がある. とくに, 防護工の高さ, 幅を決定するには跳躍量, 走向方向への広がりに関するデータが必要である. 落石特性データを得るのに最もよい方法は, 該当する斜面で実際に岩石を落下させ落下挙動を観察することである. しかし, 周囲の制約から多くの場合実施は困難であり, 従来から数値シミュレーションが行われている. 現在のところ, 数値シミュレーションの多くは二次元モデルを用いて行われており走向方向への落下挙動を推定できない. このため, 著者らは三次元数値シミュレーション法に関する研究を進めてきた. 本論文では, 落下物の形状を変化させることができる剛体-ばね-ダッシュポット-スライダーモデルを用いてほぼ実測値に近い落下軌跡, 落下速度, 回転速度, 貫入量, 跳躍量, 到達距離等を算定できることを明らかにした. また, ブロックの形状を変化させた解析では, ブロックが棒状である場合, 回転速度, 到達距離が, 塊状, 板状ブロックに比べて大きく算定される特徴があることを示した. 本論文で述べた三次元落石シミュレーション法は, ほぼ実用できると考えている.

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